先日は知的財産問題に詳しい神奈川大学の奥邨弘司助教授が来た。
助教授は松下の法務部で12年間も実務をこなし、ハーバードのロースクールから米国弁護士の資格を得、文化庁著作権分科会国際小委員会にも名を連ねている。

助教授の授業は主に私的複製のことについてだった。


この、
http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#2_3e
30条についてのことだ。

判例も教えてもらった。

ベータマックス事件は弁理士試験の勉強ではやらなかったので興味深かった。


ベータマックス事件というのは、米国で映画会社がVTRを発売したソニー相手に訴えたものだった。

ビデオの出現で映画産業が廃れることを危惧した映画会社はソニーを訴えた。

論点は二つあり、

①家庭内での録画は許されるのか、

②録画機器の販売は許されるか、

という今では「んなもんあたりまえだろ」というものだった。






79年、連邦地裁はソニーを勝たせた。

81年、連邦控訴裁はソニーを負かせた。

そして84年、合衆国最高裁は5対4でソニー勝訴の判決を出した。





もし、これでソニーが負けていれば、VTRが日の目を見ることなく、DVDもなかったことでしょうし、技術の進歩もなかったでしょうし、我々が文化発展の恩恵に享受する機会が失われている可能性が大きいという、恐ろしい事態になっていたんでしょうね。




MYUTA事件、

http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/files/20070528141551.pdf

について質問してみたところ、助教授もこの判決には疑問を持っていた。

「もっと実態的に判断して欲しかった」

とのこと。


全く同感だった。