農民菅野芳秀②

先日レインボープラン推進協議会http://www.ruralnet.or.jp/ouen/meibo/247.htmlさんが来ました。
彼はぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログも書いています。




日本の農民の平均年齢は64歳だそうです。
ということは日本の農はおじいさん、おばあさんに支えられている、ということ。
北朝鮮の食糧自給率は54%で日本はそれよりも格段に低い、これは何かあったら日本は北朝鮮より飢えてしまうということです。

日本の農への意識の少なさを大変訴えていました。

人の世づくりの世の中に食糧政策の大事さがわかっていない、しかし泣き言を思っていてもしょうがないということで、農民からの対案を彼らは出してきました。

それがレインボープランです。

レインボープランとは、

生ゴミ→堆肥の原料→ゴミの分別→廃品センター→3ヶ月ほどかけて堆肥へ→10Kg240円で販売

というサイクルを作ることです。

そして驚異的な数字なのが市民の参加率100%だそうです。

パワポが表示され日常の風景が映し出されますが、そのひとつでゴミだしの風景がありました。
主婦たちがゴミを出してますが、彼女たちはちゃんと分別していて、そして楽しんでやっている風景が見て取れました。

堆肥で作った作物には安全検査を通れば認証マークが付され、販売されます。
学校給食にも使われます。

市民は作物の生産者でありながら、消費者でもあるのです。

このレインボープランには3つの理想があります。

1、循環
生産は消費であり消費は生産である

2、共に
地域の色々な職種に関係なく生活者として考えることで、行政と市民の垣根なく、イコールの関係でやることができる。
上からさせられる、行政からの関係ではなく、横の関係、自発的に取り組むことで意識が芽生える。

3、土は命の源

土とは何か、生きると言う言葉の中に土がある。
土の中には何十億という生物→有機物を分解→遺体があって土ができる…土は今まで生きてきた人たちが堆積した結果
例えば、大根→人→土→大根
土は命の大きな循環
土を汚す=未来の体を汚す





土と我々の品格ある世の中、関係、土に関わるまちづくりの大切さ、を訴えていました。

その語りが熱く、こちらにも、ひしひしとことの大事さが感じられました。

50年代と現在の野菜の栄養表示を比較したプリントが配られました。

なんと、今の野菜は50年前と比べて半分以下の栄養しか含まれていませんでした。

菅野さんは、命を語るなら土から語れ、と言っていて、我々は土を食っているんだ、と。弱った土からは弱った作物しか育たない、として、今、変な子供(切れやすい。集中力がない)が出てくるのは当然だと言っています。


この堆肥を使ったレインボープランを、今の状態にまで持っていくのは非常に辛かったそうです。

当初、議員は「市民が分別なんかできない。堆肥のゴミがでるだけだ」として相手にしなかったそうです。
しかし、これを聞いた市民は、ぜひともやりたいとして勉強会や実験を自分たちで始め、試行錯誤を経て、自分たちができることを示していきました。
これには女性の力が大きかったと言っています。
主婦が率先してやったそうです。
女性の中にこんな力があるのかと思ったそうです。

地域づくりというのはいいとこ集めだ、とも言っています。

「あなたの〜(例えば、笑顔や、技術など)を是非町づくりに」という呼びかけで、無給で人を集めることに成功しました。

あなたのココが悪いから直せ、みたいな否定してから集めようとするのはダメで、いい面を肯定しながらやっていくと、どんどん解決していったそうです。
これまでの経験からすると、肯定されて始まると。
否定してやると失敗するそうです。
直線で進むことはなかなかできず、色々な価値観の人が住んでいるから、討論による討論、議論による議論で、ゆっくり進めました。
後退していると思われるが、実は進んでいた、そんなような感じで進んでいったそうです。





レインボープランの目的なんですが、堆肥を作ることが目的ではないんです。

思いやり豊な環境を育むんだそうです。

人は先祖代々の流れを意識すると、子孫のことを考えた行動をとることが出来ます。
そのためには土をきれいにしようと。
子供たちを思いやること、イコール土をきれいにすることなんだと言っていました。






今ではこのレインボープラン、タイやベトナムでも広まっているそうです。

この活動が、いずれ日本中、世界中に広まることを願っています。