ヒッパラリー

木村剛で有名な日本振興銀行の客足が遠のいている。

北千住の日本振興銀は通学路なのだが、ここ最近の店内の様子は非常に寂しい様子だ。

つい数か月前まで念願の黒字化達成キャンペーンをやっていたのに。

週刊ダイヤモンドではSFCGとのグレーな噂が流れていたが、これはまだ大丈夫だとしても、客足が遠のいては利益が減り再び赤字に戻ることは想像に難くない。

そもそも、日本振興銀の役割はなんなのか。

これは銀行の役割から説明した方が早い。

銀行はお金を人から預金してもらい、それを個人や企業に貸して利益を得る。

そのため、金利が高くつければ高くつけられるほど銀行は儲けられる。

金利は会社によって変わってくる。

大企業は社債等を発行でき、銀行に頼ることなく資金を調達することができるから銀行の金利は低い。

しかし、社債等を発行できない中小企業は銀行融資に頼らざるを得ない。

このため、銀行は中小企業に高い金利で貸すことができる。

しかし、近年の日本の銀行は不動産担保があるかどうかで融資をするようになってしまった。

不動産担保を持たず、このような不動産質屋と呼ばれる日本の銀行から融資を受けられなくなった中小企業はサラ金に走って行った。

サラ金は29.2%の比較的高い利率で貸すが、この時点では中小企業は資金調達先として最後の貸し手であった。

なぜなら、原料を卸す商社は年利3割を吹っ掛ける高い利率のビジネスを中小企業相手にやっていたため、サラ金金利くらいは普通であったのだ。

けれど、グレーゾーン金利の撤廃後、お金を借りられなくなった中小企業は倒産が相次いだ。

これは帝国データバンクの調査でも明らかになっている。



ということで、日本振興銀の役割はここにある。

中小企業は多少の金利でも借りてくれるし、これまでは上手く回っていた。

そのため、高利で貸すことができたサラ金は即時に資金を融資することができた。

高リスク高リターンのため、多少信用リスクは上がっても、高い利息で利益を上げることができた。

そこを日本振興銀がつくのだ。

本来の銀行マンの力量が試される事業計画や信用リスクの試算等を行い、貸し先を徹底的に検討してリスクを減らしていく。

そして金利は高利ではないが低利でもない、中利の金利を得る。

すなわち、中小企業融資の一番もうかるうま味、ミドルリスクミドルリターンを得ることが可能になる。

最初の数年は赤字が続いた。

そのため、徹底的に叩かれた。

内部抗争も勃発。

さらに木村剛朝日新聞にいろいろ書かれたりした。

そんななかでも設立当初の志を貫徹しようとするバンカー達はせっせと働き、ついに黒字化を達成したのだ。

中小企業に資金を回せる銀行というのは、企業の99%が中小企業の日本にとっては絶対に必要な存在だ。

日本振興銀の今後に目が離せない。