激しく生きろ

伊藤忠丹羽宇一郎さんは日本を代表する経営者と言っても過言ではないと思います。

伊藤忠バブル崩壊の不動産投資に失敗して、4000億の不良債権を抱えて、倒産の危機に直面したんですが、丹羽さんが社長に就任して、経営改革を行い、01年には705億の過去最大の経常利益を上げて、見事に立て直すことに成功しました。

彼が講演している本を読みました。

前にも読んだことがあるんですが、読み返してみて改めて感動しました。

「昔、私どもは学生運動をやりました。
私も名古屋大学で、委員長として学生運動に参加しました。
それは何のためにかというと、自分のためじゃない。
それは国のため、正義のため、そういうもののために自分を顧みずにやる若狭があった。
会社もない、家庭もない、そういうしがらみがなかったからかもしれない。
しかしみなさんは、そういうしがらみがなくても、今のわれわれ以上にミーイズムだ。
自分が中心で、それ以外ない。
小さく固まりすぎている。
感性が非常に貧弱になってきた。
私が社員達にいっているのは、もっと激しく人生を生きろということ。
泣く時は泣く、喚くときは喚いて、恋をするときは激しく恋をする。
小さいことをゴチャゴチャと考えないで、自分の人生を激しく生きようとすることが、学生時代に第一にやること。
マンガばっかり読んでないで、激しく本を読んだらどうだ。
激しく勉強したらどうだ。
中途半端に勉強して、試験を通ればいいということじゃない。
それでザッツオールなんかじゃない。」


なんかこれを読んだとたん、すごく泣きたくなりました。

すごいなあ、と。

自分なんて全然だめだなあ、と。

激しく生きたいなあ、と。


「みなさん、何のために仕事をしますか?
何のために勉強していますか?
お金ですか、名誉ですか?
何のために仕事をするのか、考えたことありますか?
私は、社員達に同じことを問いかけている。
今、日本の総人口の50%は就業者、働いています。
そのうち82%が給与所得者です。
自営業じゃない、サラリーマンですね、官僚を含めて。
さて、給料をもらって生活している。
何のために?
みなさんは何のために勉強していますか?
一度、考えてほしい。

それはこういうことだろうと、私は思います。
何のために仕事をするのか、勉強をするのか、それは人間として成長するためである、人間としての心の成長をするためであると。
仕事を通じて、苦しみ、悩み、そういうものに打ち勝ちながら人間として成長していくんですよ。
苦しみもない、悩みもない、何もないところで成長なんてしません。
みなさんが悩むのは大いに結構、それは生きている証拠です。
生きている限り悩みはある。
だから、私のところにもいろいろ相談に来るけど、『君、よかったね、生きている証拠だよ』といってあげる。
生き方が激しければ激しいほど、悩みが出てくるんだ。
決して悩みがあることを悩んではいけない。
悩み事があればあるほど、人間は成長するんです。だから、『若い時の苦労は買ってでもしろ』といわれる。
なぜか。
それは人間を成長させるからなんですね。
それが、人間力、人間の力を育てるんです。

勉強だってそうだ。
何のために勉強しているのか。
心の成長、知性を身につけるため。
知性は何のために身につけるのか。
成長するためですよ。
人間として下等なことをしてはダメだ。
人間として立派なことをやる。
そのために大学に来ているんでしょう。
人間として立派になるために。
みんな必死で生きている。
そうでなければいけないんです。」









丹羽さんほんとすごいです。

感動しました。







「田原『そこで聞きたい。権限を持つと悪いことをする。
丹羽さんはどうして悪いことをしないんですか。』
丹羽『誘惑はありますよ。いつも誘惑にかられるけど、さっき申し上げた、絶えず自分は神に見られているんだという気持ちは強いですね。
神じゃなくても誰かに見られている。
みなさんもそうですが、ある日、ちょっと非倫理的なことをしたくなる。
だけど絶対、誰かが見ていると思ったほうがいい。
自制自戒、誠実に生きるということですよ。』
田原『私はいろんな会社、いろんな経営者と付き合っていますが、やはり経営者が従業員から尊敬されている会社はうまくいっています。
丹羽さんは、伊藤忠が4000億という不良債権を抱えて倒れそうなときに社長になった。
そこで、丹羽さんは自分の給料をゼロにした。
電車通勤も続けている。
社長が命を張っているな、という思いを社員が持った。
ここですね、リーダーの要諦は。』
丹羽『会社の立て直しには、いろんな方法があるでしょうが、やはりトップが会社のために身体を張っているなということを見せなければいけないし、トップが何をやっているのかわからない、湯水のように会社の金を使っているんじゃないかと思われると困る。
だから私は、常に自分の背中を社員達に見せている。
顔というのは、化粧をすればどうにでもごまかせるんです。
従順な顔をして、『はい、はい』なんていってて、かくれたところではぜんぜん違うことをやっているとか。
面従腹背
ところが、背中はごまかせないんですよ。
だから、私は背中を見せる、背中をびしっとさせている。
神は必ず見ている、というのが私のフィロソフィーですから、伊藤忠の経営陣はダーティなこと、不正直なことは絶対に許さない。
そういう会社の倫理観というものを、相当強く持っていないといけない。
そうする必要があるんです。』



丹羽さんのモットーは、Clean・Honest・Beautifulだそうです。

「高い倫理観を持って、非常に誠実、正直であって、ダーティなことをしない」と言います。

「それでいて、この汚い世界を生きていく、こういう人を私は尊敬します」とも言います。






やっぱり人間力、人間として成長することが大事なんですね。

丹羽さんのこの言葉を、これから物事を行うときの指針にしていきたいと思いました。

丹羽宇一郎という人を、この言葉を知ることができて本当に良かったと思いました。