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アクセスと言えば「夢を見たいから」や「スキャンダラスブルー」などが有名ですが、昨日来たのはhttp://www.access.co.jp/top.htmlのアクセス荒川社長です。


荒川さんは日本で3番目に稼いでいるという大金持ち。

授業の冒頭にGMOの熊谷正寿さんが挨拶で「今日のゲストはスペシャルAクラス、日本のビルゲイツ、アクセス荒川社長です。
アクセスは、日本のケータイのブラウザの日本のシェア90%です。世界でも20%ということで、時価総額でも超優良企業です。
荒川さんは年に数回しか講演しないようなのでとても貴重な時間になると思います。
私の父が言った言葉で、『刀の柄を取れ』と。
ビジネスをしていく上で刃のほうを向けられないようにすることが大事だと。
アクセスさんはケータイのメーカー10社を相手にしています。この会社は刀の柄を持っています。
ビジネスの理想は1対nの関係です。
では荒川社長お願いします」


荒川「私はオタク系経営者でして、ビルゲイツという紹介も自分でプログラムを書いたりしていただけでして。
電車男というDVDを見まして、最近のオタクは昔と違いますね。
昔は、技術とかなんやらにのめりこんだのを言ったんですが。
私は勝ち組だとは思っていません。
まだ3合目です。ようやく地方予選突破です。まだ過程です。
最初はオリジナルソフトで日本から世界へ行きたいと思っていました。
25歳の時から副社長の鎌田と2人で起業しました。
勤めた経験はありません。
いまや世界に1300人、日本に450人の従業員がいます。
昔、BASICという言語があったんですが、これは質が低いんです。
そこで、私たちはLOGOという言語をつくりました。
そしてメーカーに売りに行きました。
しかし、どこも採用してくれません。
どんなにいい製品でも、『アメリカで、IBMで採用されないとダメだ』とどのメーカーにも言われました。
即ち、市場を支配しているものが強いということです。
今にもデジタル家電マイクロコンピュータが搭載されるに決まってるんじゃないか、そこで我々がやっていれば支配できるんじゃないか、自分たちの影響力を強くできるんじゃないか、と思いました。
なぜ、MSは強いのか。
OSを提供するとバージョンアップしなくてはいけないんですよ。
それは依存性です。
家電には依存性がありませんでした。
90年代前半にはパソコンにLANがつながりました。
MSがPCでいくならうちは他でやろうと思いました。
そこで、ネットを家電につなげるためにブラウザに注目しました。
インターネットテレビを思いついたんです。
しかし、これは失敗しました。
導入が早すぎたんです。
そして1ページ30秒くらいかかるんで、遅すぎるんです。
さらにコンテンツが少ない。
アダルトサイトしかなかったんです。
お茶の間であれは見れないでしょう。
そしてケータイに行き着いたんです。
これにネットが出来たら面白いと。
最初は疑われたですよ。
ドコモは徹底的に調べたんですよ。
MSなどにも聞いて、ケータイでインターネットはできないと結論付けたんですね。
しかし、アクセスは作ったんですよ。
また色々言われるですよ。
『誰がケータイでメールなんかやるのか?』
とか。
いや、やるでしょ。
ポケベルなんか、わざわざ電話ボックスまで行くんだし。
『こんな小さな画面で出来ないよ』
とか、頭の固いことをいわれるんです。
そして作っても、『5万台しか作りませんよ』と言われる。
でも一気に伸びたんです。
初年度で数百万台。
翌年度で1000万台を突破。
auもドコモと同じことはしたくないということだったんですが、メールがいいということで、途中から参加しました。
もうaccess争奪戦ですよ。
社員数を増やしました。
海外でのシェアも伸びています。
海外では第一世代がいまだに使われています。
通信インフラがよくなればさらに伸びます。
一時期10社くらいと競争
   ↓
  シェアを取る
   ↓
機種に対応させる
   ↓
生産体制を確立
   ↓
 収益拡大
   ↓
海外でのシェア拡大
と、市場規模拡大とあわせてビジネスモデルも変わります。

で、心がけたことは、
夢を諦めないことです。
若いうちはそれに勝るものはないです。
そして
困難から逃げないことです。
現実逃避をしない、言い訳しないことです。
視野が狭くなります。
逃げた人は信用がなくなります。
きっちり返済できれば信用されます。
視野が広がります。
あと、1人(1社)では何もできないということです。
物心両面での利益、喜びが重要。
透明性、正直に生きるということ。
経営者自身の透明性を保つことは必須です。
じゃあ、なんでも透明にすればいいというのじゃなくて、企業や駆け引きを全てさらけ出すのは愚かです。」

と授業はここまでで、受講生からの質疑応答の時間です。
昨日は時間がなくて3人までしか質問できませんでした。
僕は1番前に座っていて、
教授が「質問ある人」
と言うか言わないかくらいのうちに手を挙げたので指されました。
この授業は単位になりません。
全て自分で申し込んだ人だけ受講できます。
社会人、大学院生、大学生が3割ずついます。
しかし、遅刻してくる人、もいるし来ない人もいます。
そして、質問をしようとする人が少ないんです。
せっかく一番前に座っている人でも、僕以外手を挙げている人はいませんでした。
もったいないですね。
その時、これが日本人かと実感しました。
しかし、逆に、こんな世の中なら成功する確率がぐんと高いぞ、と思いました。
でも僕がずうずうしいだけかもしれません。

以前、ドリームインキュベータ堀紘一さんが来た時僕は遅刻しました。
一番前が空いていたので、これ幸いと思い座りました。
そしたら、
「お前は度胸あるな。
慶応だったらそうはいかない。
しかし、お前のせいでみんなの時間が減ったんだ。
……(説教)……
(肩に手をかけられ)もう遅刻はしないな!!」
(マイクを向けられる)「はい!」
それ以来遅刻は絶対しないと誓いました。
でも、こんなずうずうしいことをしたおかげで、堀さんから声をかけてもらえたし遅刻癖も直りました。



で、質問なんですが、
僕「今日は貴重なお話ありがとうございました。
社会科学部2年の〜です。
僕は今、知的財産について勉強しているんですが、アクセスさんはライセンス料を取ったり、グローバルな活動しておられるんですけど、これには当然知的財産戦略が必要になります。
荒川社長は、知的財産についてどのように考えておられるのでしょうか。
お願いします」


質問はいいですね。
質問すると、自分だけを向いて話してくれるんですよ。

荒川「ライセンス料は著作権料で取っています。
知財については2つの態度を取っています。
まず、1つ目は、
人の特許を侵害しない。
2つ目は、
いかに自分の特許を守るか
と言うことです。
1は当然ですね。
2は、自分たちで進歩させたり、中身がわからないようにしています。
そして、知財に明るい人間を育成したりしています。
さらに、逆に侵害されても攻撃はしないで、ロイヤリティ料を取るようにしています。」

あと、他の人の質問は

「私は実際起業しているんですが、会社を大きくしていきたいと思っています。
荒川さんは技術者と経営者の違いはどのように考えておられるのでしょうか。
お願いします。」

荒川「私は、無我夢中でやって、失敗しても諦めずやって、方向性の検証を常にやっていました。
自分でできることは自分でやりたくなりますが、一人じゃできなくなるんです。
人の環境づくりです。
銀行と交渉するより、プログラムを作りたいを思ったこともあるんですが、従業員の環境つくることで、技術者と、経営者の違いがでるんでしょう。」


という1時間30分でした。