横浜市長中田宏

昨日はhttp://www.nakada.net/yokohama/index.htmlさんが来ました。

最初は熊谷社長との仲について。
「彼とは刺激をしあいながらやってきた仲で、お互い無名時代の時に知り合った。
マー君』『なかちゃん』の仲。
共通の友人を介して知り合ったんですが、その3人で話ている時、
『誰が一番勉強できなかったか』という話題になったんです。
私は『偏差値38だった。しかも全国模試で下から12番。全国だから腹痛の奴とか、早退、遅刻した奴とか考えると俺が一番のはずだ。』
熊谷さんは『俺高校出てない』っていうんですね。(笑)
でも、彼と話をしていていっつも『〜をやりたい』とか、話がずべて建設的なことしか話さないですね。
愚痴などは話しません。
彼とは親友ですが、志がそれぞれあって、しょっちゅう会ったりしないんです。
会わなくても信じていける、そんな仲です。
自分に辛いことがあっても『あいつも今頃がんばっているだろうなぁ』という仲間です。
べたべた会う仲間ではないが、確実に心が繋がっている仲で、志を持ち、自分の頭で考えていく同士です。

青学の経営で『実践経営論』という授業を持っているんです。
私は経営者ではありませんが、都市経営という観点からすると、
経営とは…全人格をもってやるもの。
帳簿を読める、MBAを持ってる、そんなの関係ない。
人間を磨き続けるんです。
松下政経塾にいました。
そこでは、スピーチの仕方、政治の勉強などをやっているように思われますが、ほとんどやりません。
人間を考えるんです。社会を考えるんです。自分の頭で考えるんです。
法律、政令は作るのは人間です。
何のためにつくるのか。
人間のためにです。
政治家っていうのは人生3回くらいやってからなるのがいいんです。

例えば、
1、サラリーマン
2、農民
3、政治家
とか。
しかし、これは無理だから、政経塾で人間を作るです。

政経塾を作った松下幸之助
『松下さん。あなたはなぜ成功したのか?』
と聞かれ、
『貧しくて、体が弱くて、知識がなかったから』といったそうです。全てマイナスの要因ばかりじゃないですか。
小学校も出てないんですよ。

政経塾で政治などを教えないのは、
『大学行って知識があるんだから、それを実際に活かすことが大切』
という松下幸之助の思いからなんです。

彼はこれまでにないものを作りました。
そしたら、これまでにないから比較ができません。
だから、客のところに行き、
『これ、なんぼだったら買いまっか?』
と聞いてくる。
そこで買い叩かれたら困るからどうすれば一番いいのか考えます。
まさに現地現場主義なんです。
自分の頭で考えるんです。

今はインターネットなど知識があふれています。
集めた知識をどう活かすか、いかにひっくり返すか。
自分の考えたことが『フランスのナント市でやってる』と聞くことがあります。
自分の不勉強ですが、頭で考えて同じことに辿り着いたんです。
これは素晴らしいことだと思います。
同じ思考回路を持つことができたんです。

今の私の格好を見てもわかる通りクールビズです。
これは横浜市からはじまりました。

国会議員の頃、冷房ががんがんでした。
国会の天井はステンドグラスが張り巡らされているので日光が入ってきます。
だから、冷房があっても暑いときがあり、日陰になると、寒くなる。
そして、一番暑い人に合わせるものだからものすごく寒い。
私は国会で何度も上着を脱げと言いましたが、権威主義的な人は
『無礼だ』
とか
『議員バッチをどこにつけるんだ』
とか。
バッチなんかなくたって、IDカード見せて入ればいいんですよ。
本音のところ、バッチを付けられなくなることに執着していたみたいですね。
横浜市に入ったとき、女性が厚着しているんです。
夏なのに。
なぜか。
一番暑い人に合わせているからです。

だから、かねてから思っていたこのクールビズをやろうと思いました。
大の大人に服装指導をしようってことじゃないんです。ただ、いちばん暑い人に合わせるのはやめようということです。
環境庁の目安で、28℃という目安があったんでそれにしました。
しかし、28℃は暑いから、上着を脱いでもいいよ、ということにした。
夏は夏らしく…自然に順応して、地球環境をよくしようということです。
最初はブーイングがすごかったです。
デパートやネクタイ業者から、『営業妨害』だとか、内部からもネクタイが好きな人とかから色々言われました。
でも、服装指導ではないんです。
28℃で上着を脱ぐことを許容できるようにしただけなんです。
これが全国に広がっていきました。


あと、ゴミの問題もあります。

横浜市には7つの焼却工場体制です。
私が就任した時、一つが改修工事のタイミングでした。
横浜市の人口はまだまだ増えています。
さらに作らなくてはいけないのか、ということが言われたいました。
でも、『ゴミを減らせばいいじゃないか』と私は言いました。
そしたら、予想通り環境担当が、
『それは無理だ』と。
『人口は増えている。外国人は多い。
夜活動し、朝寝ている人もいる。
とても無理だ』と。

私は、政経塾時代、ゴミの専門家でした。
政経塾では、自分の専門を持ちます。
政治の人もいます。
経営の人もいます。
私はゴミでした。
なぜゴミを専門にしたか。
横浜市民時代、ずっとこの行政は無駄に、リサイクルもせずに大型ゴミ以外、全部一緒くたに捨てていたんです。
生ゴミに、鉄くず、プラスチック、なんでもありです。
それに疑問を持っていました。

そして、政経塾では現地現場主義だから、北海道の千歳市にゴミ分別の勉強に行きました。

ベルトコンベアーでゴミ袋が流れていて、袋を引き裂き分別していく。
中身が出てきてびっくりです。
なんせ、紙おむつとか分別していないものがどんどん出てくる。
紙おむつなんて、売っている状態で出てくるわけがないのであんな感じです(笑)
そういうのを流れ作業でやっている、自治体もあれば違うやり方もあったり色々勉強しました。

名古屋市では、埋立地を作らなければいけない状態に陥りました。
ゴミの処分場が手狭になったのです。
2年間市民とマスコミ、行政が話し合った結果、ゴミを減らすことになりました。
最終的に20%削減までいきました。

横浜市は追い込まれていませんが、地球環境を考えてゴミを30%減らすG30運動を提唱しました。
『G30?何だそりゃ?』
と聞かれることが重要でした。
バス、地下鉄の社内放送、広告、掲示なんでも『G30』
聞かれなくなるまで『G30』
やり続けました。
平成17年4月1日スタートでした。
10種類、15品目の分別です。

これで、7つあった焼却工場が5つにまで減らせました。
1100億円そして、毎年30億円のランニングコストの削減に成功しました。
多くの市民は市の環境対策に疑問を持っていたんです。
理屈があってやるわけではないんですよ。
理屈は必要です。でも、市役所としての人格が必要なんです。
押し付けるだけじゃダメで、説明責任を果たすことで多くの人の納得を得るんです。



質問の時間



会社取締役2児の母「子供が欲しいが、保育園のハードルがものすごく高いんです」

中田「日本の場合は結婚と出生数はパラレルの関係です。
私は、人間が子供を産み、育てることは自然な姿だと思っています。
だから今、社会的にできることは女性が産み、育てられる環境を作ることです。

私が就任した時、横浜市には待機児童数は1100人でした。

そこで、私有地の無償貸与や、空きビルなどを活用して今年度には300人にまで減らしました。
最終的には0を目指しています。

保育園は福祉なんです。
幼稚園は教育です。

プライオリティ化すると、福祉だから社会的弱者が優先されます。
しかし、多くの税金を払っている人が最後の方のプライオリティになり、入園できないというのはおかしいんです。
これは変える必要があります。

公立保育園と私立保育園があって、公立のほうは柔軟性がありません。
労組が反対してくるからです。
例えば、午後6時できっちりと閉園してしまったり、一時保育も全くダメ、といったことです。
これは公務員を基準にした考えなんです。
公務員は午後5時できっちり終わり、子供を迎えに行くことができる。

多様な保育が本当は必要なんです。」



中田さん、すごかったです。

すごい人間力、パワーがあふれていました。

何か、考え方が松井道夫みたいで、言っていることも、とても共感できました。