先日、株式会社ユニバーサルミュージック石坂敬一代表取締役会長兼CEOが来た。

会長兼CEOの授業では洋楽等を中心とした国際ライセンスビジネスというテーマだった。

まずは日本の洋楽ビジネスの沿革から。

1930〜ビング・クロスビー
1940〜フランク・シナトラ
1950〜エルヴィス・プレスリー(ロックンロールの台頭)
1963〜フォーク・ロック(ジョーン・バエズ、PPM、ボブ・ディラン、フーテナニーブーム)→森山良子、マイク真木
1964〜ビートルズ(ブリティッシュ・インベイジョン)→自作自演、自己完結の事象が発生
1970〜デビッド・ボウイ、T−REX(グラム・ロック)→ヴィジュアル系の元祖 レッド・ツェッペリンハード・ロック)→へヴィメタの元祖
1980〜マイケル・ジャクソン/マドンナ(MTV世代)
1990〜Hip−hopの隆盛/ブラックミュージックの隆盛(ホイットニー・ヒューストン
2000〜Hip−hopの大衆化(エミネム)、ティーン向けアイドル(B.スピアーズ)
2003〜ロッドスチュアート/トニーベネット/ポール・マッカートニー等のベテランが再び活躍→アダルトのマーケットが復活


5大メジャーの寡占/グローバリゼーション(スピード経営)、モバイル&デジタル配信の台頭→世界規模のライセンシングビジネスの確立

レコード会社の印税とは?

1、著作権印税
歌詞・楽曲(メロディ)・編曲を使用することの対価
著作権印税の支払先→JASRAC等→著作者へ分配

2、原盤印税
CDやテープ等に固定された音源(=原盤)の使用に対する対価
原盤印税の支払先→原盤制作者(レコード会社等)

3、アーティスト印税
アーティストが包括・継続的に特定のレコード会社等に演奏・録音を提供する対価として、アーティストに支払われるもの
例)着メロ→著作権印税のみ発生→著作者(作曲家)のみが儲かり、レコード会社は儲からない
着うた→著作権と原盤印税が発生→著作者もレコード会社も儲かる




ライセンシングとは?

・原盤制作者(原盤権所有者)が一定の条件のもと、第三者に原盤の使用の許諾を行うこと。
・このとき、原盤権を所有する側をライセンサー(Licansor)と呼び、許諾を受ける側をライセンシー(Licensee)と呼ぶ。
・ライセンシーは原盤使用の対価として原盤印税(Royalty)をライセンサーに支払う。
・ライセンサーはあくまで使用許諾を行うだけであり、原盤権そのものが売買されるわけではないことに注意。
・このライセンス・モデルは洋楽に見られるものだが最近は邦楽アーティストにも見受けられる。

ライセンシング・モデルの具体例
1)歌手リアーナ(RIHANNA)…典型的な洋楽モデルとして
2)自作自演型、邦楽ヴォーカル・ユニットA…レコード会社が原盤権を所有し、ランセンサーとなるケース
3)自作自演型、邦楽ポップ・ユニットB…レコード会社が原盤権を所有せず、ライセンシーとなるケース…例)ミヒマルGT


1)RIHANNA(洋楽モデル)

リアーナはライセンサーであるIsland Def Jam(US)とアーティスト契約を結ぶ。ライセンサーに楽曲を提供するかわりにアーティスト印税(1%〜)を貰う。
ライセンサーはライセンシーであるUniversal Music K.K.(JAPAN)とライセンス契約を結び、原盤の使用許諾を行う代わりに、原盤印税の12〜18%を貰う。

2)邦楽ヴォーカル・ユニットA

アーティストAはライセンサーであるUniversal Music K.K.(JAPAN)とアーティスト契約を結び、楽曲を提供する代わりに、アーティスト印税(1%〜)を貰う。
ライセンサーはコンピレーションで楽曲を使いたい会社(ライセンシー)に原盤の使用許諾を行う代わりに原盤印税(コンピレーションの場合は15%)を貰う。

3)邦楽ポップ・ユニットB
アーティストBはライセンサーであるBの所属事務所とアーティスト契約を結び、楽曲を提供する代わりにアーティスト印税を貰う。
ライセンサーはライセンシーであるUniversal Music K.K.とライセンス契約を結び、原盤の使用許諾を行う代わりに、原盤印税(12〜18%)を貰う。



洋楽ビジネスの基本的な流れ

1)(主幹レコード会社による)アーティスト契約→日本のレコード会社へのライセンシング
2)発表にいたる製造工程・行程の管理
3)(2と同時進行)プロダクト・マネジメント
・アーティストのブランディングマーケティングプランの構築
・「日本」で売れるために、翻訳、歌詞カード、解説が必要
4)メディア・プロモーション→TV、ラジオ、CATV、有線、着うた、Web、ストリート・プロモーションなどへのアプローチ
5)(4と同時進行)店頭プロモーション→主要レコード店での展開スペース確保…日本は世界で最も小売店が多い
6)所定の売上目標の達成

洋楽アーティストの育成-リアーナ

リアーナ/グッド・ガール・ゴーン・バッド
2007/05/30発売…デビューから2枚のアルバムがいずれも10万を超えるヒットとなったR&Bディーバのサードアルバム。
イメージ作り:Badなクール・ディーヴァ/カリブの安室奈美恵

ライセンシーの工夫
1、発売日設定:発売日を1週間日本先行にする、日本盤にのみボーナストラックを2曲追加
2、価格戦略:海外盤との価格差を考慮し、期間限定の特別価格(1,980円)とする
3、マーケティング戦略:主要ターゲット(コア)は10代後半から20代前半のストリート系ファッションの女性。
コア向けにはストリート系ファッション誌(Woofin'girl、BLENDA等)に露出。
同時にマスに向けてラジオ・TVのプロモーション。
シングル曲「アンブレラ」をCDリリースに1ヶ月先駆けて「着うた」先行配信。
4、店頭プロモーション
過去の売り上げ実績の高い都市部のタワー・HMVを中心に店頭スペースの確保


という内容だった。